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柴崎友香『わたしがいなかった街で』


わたしがいなかった街で

わたしがいなかった街で


36歳、離婚後元だんなが買ったマンションを売って、とんでもないお金を持っているけど、契約社員で働く砂羽。
趣味はケーブルテレビで戦争もののドキュメンタリーを見ること。


ある時僕は歌舞伎町を歩いていたんだけど、その日は映画を見た帰りで、日本の、人が死ぬ映画だった。パチンコ屋の前を通った時、今この瞬間に、人がここから出てきて僕を刺して走り去っていって、僕は死んでしまうかもしれない、と思ったことがあった。
この主人公も自分が殺されないことを不思議がっていた。
別に自分が殺される理由がある、とか死んでしまいたい、ってことではない。明日が来るかもしれないのと同じ理由で明日が来ないかもしれない、って思ったことがあったけど、それは違うのかもしれない、と最近思う。明日への希望とかそういうことではなくて、自分が死んだら自分が認識していた世界がなくなるから、自分が死んだ後に世界はなくなる、っていう考えは違うのではないか、っていうようなことから考えたんだけど。


世界ふれあい街歩き』という番組がNHKであるのだけど、柴崎友香はそれを見ているようだった。僕も好きだ。毎回時間を調べて見るというほどでないけど、好きだ。
Wikipediaによると、ナレーションが要らないという声もあるそうだ。それもわからなくはない、があってもいいと思う。


この本を読み終わったのは青森の健康ランドで過ごした朝だった。青森では戦火はあったのだろうか。僕はそれをしらない。僕が育った街では空襲はなかっただろう。1970年代にニュータウンとして開発された街だから。


あぁ、この作品に関して、というかいつも柴崎友香の作品に対して適切な感想を書くことが出来ないけど、この作品は読み終わった後の感覚がそれまでの作品と違っていた。それまではいつまでの作品の中の登場人物たちのことを思い浮かべたり、その大阪の街にいるような感覚になっていたことがあったけど、これは周りを見回して、この街の過去の歴史を思ってしまう、というか、大きな時間について考える、つまり作品の外のことを考えてしまう作品だった。

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