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3月のライオンを迎えに行く

3月のライオン最新刊6巻が発売された。いつもの通り圧倒的に素晴らしいのだけど、6巻はこれまでの集大成というか、読んでいて色々感じる所があったのでその感想を。


突然だけど僕はいじめられていた。中学生の時。小学生の時も少しそうだったのかもしれない。でも中学生の時が僕にとっていじめられていた記憶。でもいじめてもいた。同じ中学生の時。だけど僕はいじめていた彼にどんなことをしていたのかをあまり覚えていない。彼が僕を恐れていたのは覚えている。今は彼に対して死ぬほど後悔して申し訳ない気持ちで、それは高校ぐらいからそんなことを思っていたけど、当時は全然覚えていなかった。ごめんなさい。
僕はいじめられていた。複数人に。毎日。でも学校を休まなかった。それは休む選択肢がなかったからだと思う。学校は毎日行くものだったから。たぶん死ぬ選択肢も考えていたかもしれないけど。
ベルトのバックルを壊されたり、後ろから叩かれたり、机のなかみを捨てられたり。目の前で悪口を言われたり。今思い返すだけでも腹が立ってくるけど。
学校を卒業してから駅やなんかで彼らにあったら仕返ししてやろうと、彼らがどんなに謝っても許さなくて、刺し殺すぐらいのことをしてやろう、と大学入るぐらいまで思っていた。大学入ってからはだいぶどうでも良くなっていたけど、彼らに対する恨みつらみは決して消えてなかったし、今も消えていない。いじめられた側の心理が圧倒的に大きく辛く残る。


僕が『3月のライオン』を知ったのはラジオだったかブログだったか、誰か芸能人がファンのみんなが薦めてくる漫画としてこの漫画のことを話していて、それで知った。
僕は将棋は知らない。囲碁はヒカルの碁を全巻持っているので知っているが、将棋はコマの動きも知らないぐらいだ。しかしハチクロの流れからの羽海野チカだったのもあるけど、それ以上に冒頭からの話の展開が丁寧で魅力的で、すぐに漫画の世界に入っていった。
語りたいこととして、桐山零の父親だったり義兄弟だったりのグッとくる話はたくさんあるし、ホンワカする絵や会話や猫もたくさんある。もうページをめくり、すべての書いてある文章を読むだけでも面白いのだが、今回は冒頭でも書いてあるとおり、第5巻から第6巻のメインとなっているひなちゃんのいじめに関して。


ひなちゃんがいじめられている同級生と一緒に会話していたせいで、その同級生が転校してしまっていじめっこの矛先がひなちゃんに向いてしまうのだけど、ある日泣いて帰ってきたひなちゃんはひとしきり家族に話したあと河に走って向かい泣く。零が追いかけるのだけど、彼女は
ほんとはずっと怖かった でもっっ でもっっ 後悔なんてしてないっ しちゃダメだっ だって 私のした事は ぜったい まちがってなんか ない!!
と言う。
零はずっといじめられてきた、ずっとひとりぼっちだった。その言葉で自分が今までひとりぼっちで過ごしてきたことが助けられた、ひなちゃんがそういって自分に手を差し伸べて助けてくれたと感じて、ずっと一人だった僕が救われた。ひなちゃんが零の恩人になった。
僕はこの件がなかなかわからなくて、というのは零がなぜこの言葉によって救われたのかわからなかった。何度も何度も同じ箇所を読んだけど、なかなかわからなくて、でも第6巻であかりさんが、ひなちゃんが全てを話してくれたときちゃんとひなに声をかけてあげられなくてダメだな、と零に言い、それに零が、あかりさんは「こんな勇気のある子」に育ててくれただからあかりさんも僕の恩人だ、と言う。ここまでの流れを何度も読み返して、やっとわかった。零がなぜひなに恩義を感じたのか。
ずっと孤独だった僕に、こんなに時間が経ったあとでも、怖くても「後悔しない、間違っていない」という思いでひなちゃんが手を差し伸べてくれたのだ。だからあのときの僕は孤独ではなくなった、と感じたのじゃないか。この説明でもうまく説明できていないかもしれないけど。零はあのときあかりに解放され、泣きながら間違ってないと言ったひなに手を差し伸べられたことで、ずっと孤独だった彼の人生が救われたのだ、という話なのじゃないか、と結論づけたい。

ちなみに僕は5巻の最後で号泣していた。だって僕はずっと一人だった。でもひなちゃんが救ってくれたのだ。あぁ、ここまで書いてやっとわかった。なんで僕が5巻のこのシーンを読んで号泣していたのか、零に強く感情移入していたのか。やっぱ僕は救われたのだった。零のように。

そして6巻のラストだけど、新人王になった零が胃薬(中学3年生がいじめで胃薬必要とかもう泣ける)を鴨川の河瀬にいたひなちゃんに渡して泣き出すひなちゃんとか、本当にぐっときて、今その2ページを読み返しただけで目頭が熱くなる。


この漫画は本当に、本当に、すごいと思う。今までたくさん漫画を読んできて、これが漫画の完成形だ、と思う漫画はいくつもあった。それはDBだったり火の鳥だったAKIRAだったり。でもこれはそれらとはまったく違う、映画や小説とも違う、現代漫画の志向すべきひとつの形なんじゃないかと思った。
いじめに多くを割いたけど、零はこの巻で新人王になった。史上5人目の中学生プロの零は、それまでの中学生プロがすべて名人になったように今後を当然のように期待されていたけど、学校に通い始めてみても将棋に対する貪欲さにしても、うまく表現できていなくて、それがこの6巻で親友の二階堂の持病が、新人王戦準決での敗戦によって深刻な状態になってしまったことと先のひなちゃんの件で、零の勝負に対する熱が、二階堂を倒したやつを倒すことで二階堂を助けたい、自分が勝つことでひなちゃんを元気づけてあげたい、という熱に変換され新人王になることができたわけだ。文章にするとうまく伝えられたないのは僕の文章力もさることながら、やはり漫画としてのププロットの完成度の高さとそれを具現化している絵によるとことが大きいと思う。

うん、やっぱりこの漫画は面白い。4巻ぐらいまでは面白い漫画で間違いなく毎巻買う漫画にリストされていたけど、5巻から6巻にかけてで、人に是が非でも薦めたい漫画になった。老若男女問わず。と、思ったけど手描きの地の文章(猫のおねだりなど)が辛い人もいるかもしれないな。
でも読んでほしい。

3月のライオン (1) (ジェッツコミックス)

3月のライオン (1) (ジェッツコミックス)


3月のライオン 6 (ジェッツコミックス)

3月のライオン 6 (ジェッツコミックス)

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