daichang blog

主にロードバイクに関する気ままなブログ

モッピー!お金がたまるポイントサイト

ツリー・オブ・ライフを見てきたので感想を書きたいとおもいます。

心に残る映画や、人生にとって大切な一冊になる小説や、何度聞いても泣いてしまう一曲など、誰しもそれなりの芸術体験をしてくればひとつはあるだろう。そういうのは誰かの評価によって自分にとって心に残る映画になるわけではなくて、自分の人生での体験や記憶とその作品が結びついて、深く自分の心に記憶されるものだ。何度見ても同じ箇所で感動して、同じ記憶を思い出してしまう作品がひとつはあるだろう。

予告編をみると父と子の確執というカンヌの人たちが好きそうな話だと思っていたいたのですが2011-08-12 - 空中キャンプを見たらそうではないのかと、見る前の若干の知識を入れて見に行ったのでそこまでの衝撃はなかったですが、やはり予告編とは大きく違いますね。
かといってどういった予告編がこの映画にとって正しいのかはわからないので、やっぱり父親との確執というテーマにするしかないのかなと。

あとショーン・ペンがブラット・ピットの息子として役をやっているけど、これは予告編を見ていないとすぐにはわからない感じの表現のされかたで、当然ちゃんと見てれば分かるんだけど、海猿とか恋空とかが大好きといかいう映画の見方をしているようなタイプの人達ではわからないような表現のされ方な気がします。

では映画の全体の感想を。

中盤あたりで思ったのはヴァージニア・ウルフや「意識の流れ」のような映画であると。風に揺れるレースのカーテンのたなびき方やスプリンクラーからでる水の冷たさや草むしりをした時の手についた土の匂いや煮すぎて崩れてしまっている豆の食感や、洗濯物の間から見える母の姿。それらがただただ丁寧に描かれ、時間とともに流れていっているだけ。宇宙の恒久的な時間の流れの一つに僕の人生がある、とそこまで思っているかわからないけど、そういう悠久的な時間を感じる映像がありました。
だからヴァージニア・ウルフとか「意識の流れ」の何が面白いのかサッパリな人が見ても間違いなく面白いとは感じないだろうけど、学生の時にヴァージニア・ウルフに感動した僕がこの映画を面白いと感じたのかどうかというと決して面白いとは感じなかった。なんというか面白いうんぬんという映画ではない。しかし間違いなく素晴らしい映画。

前半は客観的にこの映画の良さを説明して、後半僕の個人的な体験とこの映画がつながってしまった部分を書こうと思ったのだけど、うまくいかないので、個人的な体験を書きます。
ネタバレ含まれます。

弟が19歳で死んでしまうんだけど、「ゆれる」って西川美和の映画があるけど、あれは公開時もDVDでレンタルした時も決して客観的に見ることができない、もう弟としての視点からでしか作品を見ることができない映画なのだけど、このツリー・オブ・ライフも兄弟がティーンになったあたりでなんでもないじゃれ合いから喧嘩のようなちょっとした暴力といか、兄の弟イビリのようなものが描かれる。これはきっと立場が違えば弟いじめのようには見えないのだろうけど、僕はその描写が出てくると何度も何度も号泣していた。コンセントに針金を刺して見るように迫る兄、兄を信じて怖いけど入れてみる弟、銀玉鉄砲の銃口に指を当てて見るように言う兄、恐る恐る手を出す弟。
先日「3月のライオン」でのいじめについて書いたけど、当事者でしかわからない、立場が違えば記憶のされ方も違うものが思春期では強く人格形成に影響し、記憶され続けるんだと思う。
でも周りではそんな場面で鼻をすすっている音なんてしなくて、僕だけ泣いていた。
僕にとってこの映画が兄弟の映画として印象づけられたかというと全くそんなことはなくて、確かに心に残るシークエンスはそこかもしれないけど、全体としてのこの映画の素晴らしさは、時間の流れと意識の流れと家族との関係の中での心の成長を映像として、わずかなセリフとイメージ映像と宇宙の美しさによって描いたことなのではないかと思う。

間違いなく今年の素晴らしい一本。でも人はきっと入らないだろうし、エディプス・コンプレックス的なことを想像して入った人はがっかりするのかもしれない。そもそもカンヌでパルムドールをとった映画であることを前提として見にいくといいですね。他にどんな作品がパルムドールをとっているのかを知ってから行くと。
明日テレンス・マリックの他の作品を借りてこようかと思います。

モッピー!お金がたまるポイントサイト